映画『泣き虫しょったんの奇跡』を観ました。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.seesaa.net/


会場 有楽町朝日ホール 8月22日(水)17:30開場 18:00開演
9/7の一般公開に先立っての試写会です。


面白かったです。意外にスクリーンが小さかったけど(笑)。
上演前に、豊田利晃監督と瀬川晶司五段のトークがありました。
豊田「(予定だった)松田龍平が直前にキャンセルしちゃって、遠くから龍平
目当てに来た人には申し訳ないです(笑)」
最初からキツいな。
確かに観客は、若手男性俳優目当てで将棋なんて興味ない女性達(年齢不問)と
将棋好きの男性達(年齢不問)に分かれていました(笑)。
私の周囲の話声からは、そんな感じでしたよ。


役者の演技について
豊田「松田龍平は、役に入り過ぎて、撮影が終わって3ヶ月くらい役から抜けら
れなかったみたい」
へぇ〜、と思ったんですが
豊田「彼は久しぶりに頑張ったようです(笑)」
一言多い。


撮影中、役者が段々将棋に詳しくなっていくという話の中で、永山絢斗さんに
ついて
豊田「3回くらい将棋の役をやっているのに、ルールも分かってない(笑)」
司会「流石に役者ですね」
そういう役者さんもいるでしょう。


さて、映画の内容は瀬川五段の自伝的な小説『泣き虫しょったんの奇跡』が原作
です。
プロ棋士を目指して奨励会に入った中学生が年齢制限(26歳の誕生日までに四段に
なれなければ退会)の壁で退会を余儀なくされます。
一旦はサラリーマンになりますが、アマとしてプロ相手に驚異的な勝率を挙げて
注目されます。
そして、周囲の人々の尽力もあって異例のプロ編入試験が実現します。
プロ棋士6人を相手に3勝すればプロ棋士になれます。
結果は3勝2敗で、見事合格します。映画は、その瞬間までを描いています。


豊田監督の「将棋を知らない人にも分かるように作った」という言葉通り、将棋の
細部にまで拘っています(対局はセットですが、棋士達は実際に対局している
将棋会館だと思ったそうです)が、将棋盤より対局者の表情に重点があります。
将棋の戦法や専門用語もほとんど出なかった印象です。


それでも、主人公の将棋への情熱や三段リーグの過酷さはよく出ています。
特に三段リーグの面々の個性や、殺伐とした雰囲気は話には聞きますが、大変
興味深かったです。
瀬川五段の人間的な優しさ(あるいは弱さ)の描写もよかったです。
三段リーグを突きぬけるには、抜群の強さと同時に、ある種の鈍感力も必要な気が
しました。
ホントにぴったりなのが、三段リーグを一期で抜けた藤井聡太七段ですね。
瀬川五段も藤井七段について、ちょこっと触れていました。


役者さんの演技も、中々印象的でした。奨励会の仲間達は流石に上手いですね。
強烈な印象を残したのは、イッセー尾形小林薫國村隼のベテラン陣です。
濃いオヤジ演技です。これは、年齢を重ねないと出ない味です。
松たか子もマドンナ的な役柄で儲け役でした。


将棋好きとしては、実際の棋士達の演技(?)にも注目しました。
行方八段は、見つけられなかったなぁ。羽生さんにも分からなかったとか(笑)。
特にプロ編入試験の配役には笑いました。
本人が演じればいいのに、わざわざ別の棋士を使ってます。
まぁ、佐藤天彦名人は断った気がしますが(笑)。


あやひーも真っ青な、全身ピンクの神吉六段。
ここだけ、本人の神吉宏充七段が登場しています。メガネからスーツから小物まで
オールピンクで、チョー嘘臭いというか、漫画チックですが実は一番リアルです。
実際の編入試験でも、オールピンクで瀬川さんを仰天させてます。負けたけど(笑)。
ここは、豊田監督流のユーモアと解釈しました。


細かいエピソードは別にしても、知っている話だったので安心して観賞出来ました(笑)。