高垣彩陽2ndアルバム「individual」(2015-11-25)

待望久しかった歌姫あやひーの2ndアルバム。



01. Walking On Sunshine(新曲)
02. Secret of my love(新曲)
03. 3 leaf clover
04. 私の時計(新曲)
05. 記憶の湖(新曲)
06. Rebirth-day
07. Will
08. Inner Galaxy(新曲)
09. 愛の陽
10. 風になる
11. Next Destination
12. 縁(新曲)


今頃の感想ですいません(笑)。新曲だけまとめて、ずっと聴いていました。
歌唱力や表現力に関して言えば、既に高いレベルにある人です。
だから、安心して聴けますし、実際に聴けるのが楽しみです。
今後は人生経験を重ねる事で、より表現に陰影が出るのではないでしょうか。


最初に新曲だけを通して聴いた時は、自作曲の12.が案外悪くないな、という印象でした。
正直、ちょっと心配してました(笑)。
でも、冷静に考えると籠島さんに助けられたとは言え、作曲に関しては素人さんです。
その曲が他の新曲とあまり差が無いという事は、逆に他の曲のレベルが怪しいという事に
ならないでしょうか。
個人的には、あやひーの歌は「愛の陽」以前と以後に分けられると思っています。
「愛の陽」までは、歌の方向性について若干の手探り感があった気がします。
「愛の陽」は、あやひーの歌唱テクニックや表現力の全てを注ぎ込み、一つの到達点に
なったと思います。
それ故か、「individual」では別方面からのアプローチなのかなと感じました。
タイトルや30歳の節目を意識して、あやひーの心象に寄り添った曲が多いという印象です。
特に、05.とか08.の歌詞にそれを感じました。
だから、01.を除くとスケール感みたいなものは、あんまり感じませんね。
全体に、あやひーのソプラノがほとんど聴けないのは残念ですが、曲の作りがあやひーの
内面寄りなので仕方ないと言うべきか。
それにしても、あやひーのために作られた曲の歌詞で「平和ぼけ!〜」と叫ばれるとは
思わなかったです(笑)。
聴き込むと、やはりあやひーの歌唱力は素晴らしいです。


さて、謎なのがMVです。
01.を最初に聴いた時は、ミュージカル風の良い曲じゃないか、という印象でした。
でも、「バースデーイブ ミニコンサートイベント」でMVを観てビックリですよ。
歌詞と映像が全く合ってないです(笑)。堤幸彦監督、世界観を説明して下さい(笑)。
もうイメージとしては、タルコフスキーの映画『サクリファイス』しか思い付きません。
あの映画は、世界の破滅と救済を暗示する宗教的(キリスト教的)、かつ哲学的な不思議な
作品でした。
このMVでも、場面的にはそんな感じなのです。
伯爵夫人風なあやひーの回想に出てくる、子供の時のあやひー。
ガスマスク姿のあやひーも強烈です。
世界の終末を思わせる食卓。
 テーブルセッティングされているのに、食べ物も飲み物も無い。
 オシャレと言うより、電気も途切れてロウソクしか無い印象。
ミサイルが飛び交い、世界の終わりを暗示。廃墟とロケットの残骸。
ラストシーンにおける、再生への希望。
サクリファイス』では、バッハの「マタイ受難曲」からアリア「神よ憐れみたまえ」が
効果的に繰り返し使われています。
どうしても、そのイメージで01.を聴いてしまいます。ミュージカル曲には思えない(笑)。
堤監督はこの曲に、何を見ているのでしょうか。
あやひーのMV史上、一番刺激的で面白いのは確かです。MVPです、MVだけにね・・・。


そして、メイキングも面白い。
少し離れた所から、堤幸彦監督の声が
堤監督「(本当は、ミュージカルやりたいんでしょ?)」
あやひー「メッチャ、やりたいです!(笑)」
堤監督「(あやひーを指さして)天才です」
あやひー「もう、とんでもございません」
照れるあやひー。
堤監督「天才です」
あやひー「映像を撮っていただくので緊張してます(笑)」
堤監督「ああっ、そう。大物ですから。チョー大物ですから」
照れるあやひー。
私が何年も前から指摘している事を、堤監督あっさりと言いやが・・・、いや、仰ってます。
堤監督「ミュージカル?」
あやひー「ミュージカルやりたいです!ホントにやりたいです!」
周囲にもアピールするあやひー。
堤監督「セルフプロデュースすれば?」
あやひー「セルフプロデュースですか(笑)」
堤監督「実家を抵当に入れて」
あやひー「実家を抵当に(笑)。ちょっと家族と相談してみます(笑)。じゃあ、演出やって
いただけますか?」
堤監督「やるやる。但し、途中で手放すかも知れない(笑)」
あやひーのミュージカルへの情熱が、あふれ出た場面でした。
早く実現するといいなぁ。


あやひーレベルの歌手に楽曲を提供する人は、よほど気合いを入れてもらわないとね!