将棋の羽生名人が凄い。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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先日、名人戦の第一局が行われ、先手番の羽生名人が勝利しました。
何が凄かったかと言うと、相手の得意な戦型にわざと誘導して、これを潰した事です。
後手番の佐藤天彦八段が得意なのが、後手番・横歩取り戦法。
この戦法で20勝4敗、勝率8割以上という驚異的な成績。常識ではあり得ない数字です。


それを承知で、初戦で相手に得意戦法を指させるのは危険です。
特に勢いのある若手の佐藤八段は、勝てば調子づく可能性が強いです。
羽生名人の思惑としては
①相手の得意戦法で負けてもショックは無い。
②勝てば、相手のダメージが計り知れない。
という点だったのでしょう。つまり、負けても自分の損は無いという判断。
大事な初戦に、何とも大胆な戦略です。あくまで7番勝負の4つ勝てば良いという大局感。
そして、今回は両者とも目立った悪手のない将棋。
羽生名人は、それを巧妙な指し回しで押し切ってしまいました。
佐藤八段は、ショックだったのではないでしょうか。
得意戦法で、悪手も無いのに負けたのですから。
根本的に、後手番・横歩取り戦法への懐疑の気持ちが出ても不思議ではありません。
そうなると、戦法の選択肢が狭くなってしまいます。


羽生名人の感想も凄い。
「作戦的につまらない将棋にしてしまった」
勝っておいて、この言葉は負けた方には辛い(笑)。
佐藤八段は、次の先手番で勝たないと、一方的に押し切られそうな気がします。
今回は、戦略家としての羽生名人の凄さを見た思いです。


ニコ生の渡辺竜王の解説が流石です。実に歯切れがいいんですよ。