高垣彩陽さん出演の『朗読劇 私の頭の中の消しゴム9th letter』を観ました。

サンシャイン劇場 2017年8月18日(金)開場18:30 開演19:00


あやひー出演の消しゴムを観るのは2014年の「6th letter」2015年の「7th letter」
に続いて3回目です。
つまり、あやひーの出演年は全部観ていますが、それぞれ1回ずつです。
今回も2回公演の1回目を観ました。


この朗読劇は、去年までは銀河劇場でしたが、今年は池袋のサンシャイン劇場です。
あやひーも「あやひごろ」に書いているように、劇場が変わったのでセットや演出、
台本の変更もあったそうですが、本質的な部分は同じです。
私の感想としては、基本的には前回前々回に書いたのとほぼ同じです。


今回は何と言っても、まさかの最前列ど真ん中という神席だったので、あやひーの演技
にひたすら注目する決意で臨みました。つまり、あやひーを眺めていたいだけか(笑)。
役者さんとの距離は2mなので、表情が実によく見えます。


あゆひーの演技は圧巻でした。当然、前2回の観劇から、それは予想はしていましたが。
前半の恋する女性の言葉の躍動感、後半の絶望感漂う言葉、一瞬の間に激変する感情と
言葉、表情。圧倒的な迫力があります。
涙や鼻水を流す全力の熱演ですが、何だか前2回よりも抑制の利いた演技だと感じました。
もちろん、演出の違いもあると思いますが、あるいは相手役の高崎翔太さんが
「消しゴム」初出演だったせいかも知れません。
3回目で勝手を知っているあやひーが、意識的か無意識かは不明ですが、自分だけ突出
した派手な演技をして(それが出来る役柄)バランスを壊す事を恐れたとも考えられます。
いや、演技に関しては驚くほど緻密なアプローチをするあやひーなので、意識的な抑制
だと思います。
自分だけ目立とうとしないのが、あやひーらしいです。それでも目立ってましたが(笑)。


今回、目の前で台本読みながらのお芝居を観て、改めてこのお芝居が「朗読劇」である
事を再認識しました。
そして、あやひーの朗読技術は、非常に高いレベルにあると確信しました。
一音一音クリアな発音と滑舌の滑らかさ、朗読スピードの緩急、イントネーションの
変化、間の取り方、声の大きさの強弱など、朗読というレベルではありません。
そのままストレートプレイに置き換えても通じるものを感じました。
それに職業柄か、台本の持ち方、扱いが丁寧です。
そして、台本読みで絶対にカミません。朗読劇では当たり前の前提だけど凄いです。
あやひーは、台本読んでいるように見えるけど、本当は大部分は頭に入っていたのでは
ないでしょうか。
そうでないと、あの表現力はあり得ない気がするのです。
あやひーの事だから「実は全部暗記してました」と言われても驚きませんよ私は(笑)。


そして、あやひーの立ち姿が美しい。佇まいが凛として気品があります。
この事は、2014年11月の朗読劇「Valkyrie 〜Story from RHINE GOLD〜」でも感じた
のを思い出しました。もちろん、座ってる時の姿勢も綺麗です。
今回の公演を観て、舞台女優として、どんどん進化・洗練されていると感じました。
「声優」という肩書がなくても、舞台女優としてやっていけるレベルなのは確かです。


高崎翔太さんは、最初に登場した時はチャラ男に見えてしまいました。見た目に違和感を
感じたのは確かです。
でも、その熱演を観ているうちに、純情さや朴訥さが良い印象に変わりました。
あやひー、いや薫さんに思い切り振り回された人ですからね。同情します。


ところで「あやひごろ」(2017-08-20)で「消しゴム9th letter」に触れています。
私が驚いたのは「涙してくださる方もたくさんいらしたと聞きました」という部分です。
あの観客のすすり泣きが聞こえてないんですか?
舞台の上から、結構観客の様子は分かると聞きますが。
確かに客席は暗いけど、あのすすり泣きは聞こえる気がします、音量的に。
あるいは、あやひーの集中力は全てお芝居に向かっていたのでしょうか。
あやひーを長年観察しているつもりでも、いつも何気に驚かされます。


個人的には、短期間に何回も観るお芝居ではないけれど、10thにあやひーが出れば観たい。