高垣彩陽さん出演の「‪私の頭の中の消しゴム‬ 10th letter」(2018-04-28)

会場 よみうり大手町ホール 開場14:30 開演15:00



高垣彩陽さんが出演したのは2回ですが、その1回目を観劇しました。
高垣家の人々(祖母、母、妹)も同じ考えのようで、今回もご一緒(違)出来ました(笑)。
このお芝居に関する感想は、基本的には以前書いた内容と同じです。
『6th letter』『7th letter』『9th letter』


今回は橋本淳さんが相手役でした。
去年は高垣さんが、お芝居をリードするような印象もありましたが、今回は思い切り
ぶつかっていった気がします。それだけ相手を信頼していたのだと思います。
本当に凄い演技を見せてもらいました。


ただ「若年性アルツハイマー」の問題を、単に「美しい悲劇」として終らせる内容に
少し違和感を感じるのは、やっぱり前と同じです。
結局、こういうシリアスなお芝居を観る時は、その人の今までの人生経験をフィルター
にして観てしまうのは避けられませんからね。


私の祖父も認知症で、厳格な祖父が少しずつ壊れていくのを見るのは、辛いものが
ありました。そして、中心となって看病する祖母も疲れていたと思います。
ある時、主治医の「タケウチ先生」が夜の遅い時間に往診に来てくれました。
だけど、祖父は「ヤブウチ先生を呼べ!」と騒ぎ出しました。
「タケウチ先生」が機転を利かして「私がヤブウチです」と答えると、祖父が一瞥して
「そうじゃないさ」と人を小バカにしたような表情で言うのです。
確かに謎の「ヤブウチ先生」じゃないんだけどね(笑)。
「タケウチ先生」は、何だか憮然とした表情で帰って行きました。


「タケウチ先生」が帰った後で、家族(祖父は除く)は大爆笑でした。
「藪医者とタケウチ先生を一緒くたにしてる」
「タケウチ先生を藪医者だと思ってるんじゃない?」
「タケウチ先生の表情が何とも」
「タケウチ先生は自分が藪医者だと思われてるのが分かったよね」
みたいに、盛り上がりました。
そういう、日常生活での笑いが、どれだけ家族を救っていたか。


だから、このお芝居の後半で薫さんが「カズヤさん」を連発するシーンは、私にとって
は笑うシーンでした。
あの場面で、薫さんの家族や浩介さんの家族がいて
「またカズヤかよ!」とツッコんだり
「浩介君、薫は病気だから気にするな」と笑いながら慰めたり、そんなリアルを感じ
させる場面もあっての、あのラストだったら本当の名作だと思えます。
まぁ、二人だけで悲劇一直線のお芝居に、それを望んでも無理か・・・。


ところで、公演パンフで脚本・演出の岡本貴也さんが「‪私の頭の中の消しゴム」について
ライフワーク(とは書いてませんが)みたいな言い方をしていますが、ちょっと心配な面
もあります。それは、この病気の治療法が見つかったら、お芝居が成立しなくなるから
です。その時は、どうするんでしょうか。


高垣彩陽さんについて、もう少し書きたい事があるけど・・・それは2日後ぐらいに(笑)。