何かが空を飛んでくる

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.paslog.jp/


国産小惑星探査機「はやぶさ」が宇宙から帰って来るんですよ。
ボロボロになりながら、60億kmを旅して帰って来るんですよ。
2003年5月に打ち上げられてから、小惑星イトカワに着陸したんですよ。
小惑星とは火星と木星の間に存在する多数の小天体群です。
観測されたもので約50万個あり、直径数km〜数十kmの物が多いです。


小惑星イトカワは535m×294m×209m程度の小天体です。
そこに着陸して、帰還するというのは月に着陸・帰還するよりはるかに
困難な仕事です。目的の砂の採取が出来たかは微妙なんですが。
とにかく、世界初のミッションを達成しました。
月より遠い天体に着陸し、地球へ戻るのは世界初の快挙です。


私は天文少年だったので「はやぶさ」打ち上げ以降そのニュースには
注目していました。
はやぶさ」地球の重力を利用して、加速するスイングバイに初めて
成功しました。
これは、燃料の節約になるんですがSF的でカッコイイです。
何だか「プラネテス」の世界みたいでしたよ。
しかし、トラブルのニュースも多かったですね。
イオンエンジンのうち1基が故障、通信の途絶、姿勢制御装置の故障、
太陽電池の不調、燃料漏れ等。


それでも、小惑星イトカワの写真を送ってきました。
その細長い姿に驚いたのですが、天体と言うより「でかい岩」でした。
でも、着陸に成功しました。イトカワが自転しているので約30分だけ
だったと思います。
その間に、鉄球を地面に発射して舞い上がった砂を採取する作業に成功
したとの発表があったんですが、後で鉄球が発射されてなかった事が
判明。ただし、着陸の時に舞い上がった砂を採取出来た可能性もある
らしいです。
カプセルを回収してみるまで結果が分からない、というワクワクする
事態ですよ。
6月13日にオーストラリアのウーメラ砂漠に落下・回収される予定です。
はやぶさ」本体は地球まで4万kmでカプセルを分離した後、自らも
大気圏へ突入し燃え尽きる予定です。真っ白に燃え尽きる・・・。


こんなに故障続きでも、何とか帰還出来るのも探査機を設計する時に
「機械は故障するもの」という前提で、幾重ものバックアップ体制を考え
ていたからです。これは凄いなぁ。
流石に、燃料が不足して帰還出来ないかも、という報道の時はもう駄目
なのかと思いましたが、太陽電池を利用したりとか懸命の工夫で乗り切
りました。
こういう困難を解決していくのは、技術者冥利に尽きると思います。
イデア考えたり、実行したり楽しいだろうなぁ。


ところで、新発見した小惑星には発見した人に命名権があります。
だから、戸松遥さんに因んで「トマツ」とか「ハルカ」とか「トマツハルカ」
とかでもいい訳ですよ。「イトカワ」も人名ですし。
まぁ、色々ルールはあるんですけど上記の場合は大丈夫だと思います。
私が発見したら間違いなくですなぁ(笑)。
5年後には、スフィア全員の名前が付いてたりして。
ほら、スフィアには「天体」の意味もあるしピッタリですよ。


真っ白に燃え尽きる「はやぶさ」は、まるで「あしたのジョー」です。