オルセー美術館展2010「ポスト印象派」

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.paslog.jp/


六本木の国立新美術館で開催されている「オルセー美術館展」に行って来ま
した。これは素晴らしいですよ。
東京では常に美術展が開催されているので、ついうっかり見逃す事も多い
のですが、やっと行けました。
ShinKokuritsuMZ.jpg


本当は同じ六本木の森アーツセンターギャラリーで開催の「ボストン美術
館展」が6月20日までなので、そちらを優先するつもりでした。
でも、行った人から図録を見せてもらったら「行かなくてもいいや」と思い
ました。行ったつもりになりました(笑)。


さて、国立新美術館です。
2007年に作られた巨大な国立の美術館です。
うねうねとした外観や、コレクションを持たない美術館として有名かな。
オルセー美術館展」では、私の大好きなアンリ・ルソーゴッホ
ゴーギャンロートレックが主な目的です。


「点描」とか「印象派」の一部はあまりに形式主義が感じられて、どうも好き
になれません。
セザンヌの「台所のテーブル」は一見すると、ゴチャゴチャした静物画です
がよく見ると、描かれている物の視点が全部違っていて混乱します。
壷の口の不自然さが気になりますが、伝統的空間処理を打破した作品とし
て評価が高いようです。テーブル自体の左側と右側でもズレてます(笑)。


ゴッホは図録だと6点ですが、1つは観た記憶がないんですが。
ゴッホの作品を観ていると、鳥肌が立って来るんですよ。
これは他の画家の作品にはない現象です。既に条件反射の領域です(笑)。
近くで観ると、筆のタッチが分かりますが凄いスピードで描いているよう
です。だけど、作品として雑なところがありません。
それに、この人のデッサン力は桁違いです。自画像だとそれが良く分かり
ます。


Gogh1.JPG
「アルルのゴッホの寝室」は絶対に空間は歪んでいるのに、不自然な感じが
全くありません。非常に明るい色彩で、これは大好きな作品ですね。
オルセー美術館展」はゴッホを観るだけのために行ってもいいくらいです。


最後の方の部屋には、アンリ・ルソーの大作が2点飾られています。
アンリ・ルソーは貧しさの中、40代後半に画家になった素人です。
正規の美術教育を受けていませんし、生前はあんまり評価されなかった
人です。ちょっと稚拙に見える絵が多いので「子供の落書き」とか「足で描い
た」とか言われたそうです。
美術展では、人々はルソーの絵を嘲笑するために押しかけ、ルソーの絵が
ないと騒いだそうです。ある意味人気者です(笑)。
でも、実はとてつもない画家だと思います。もう、大好きな画家です。


Rousseau1.JPG
まずは「戦争」。これは何だかツッコミ所満載の作品です。
多分、戦争を批判していると思うのですが真ん中にいる動物は何なのか?
馬のように見えますが馬ではないし。たてがみは妙にリアルに描き込まれ
ています。その前にいる女神は動物に乗っているのか、横を飛んでいるの
か。手に剣を持っていて、むしろ破壊神に見えなくもない(笑)。
死体の表情が何故か柔らかいです。奇妙なポーズの死体もあるし。
何だか全体からは、ユーモアすら感じてしまいます。



Rousseau2.JPG
次は「蛇使いの女」。とても幻想的な絵です。
神秘的で静かな雰囲気なのですが、あたりを圧する緊張感が漂います。
「戦争」から13年後の作品ですが、緻密で素晴らしい完成度です。
アンリ・ルソーが描く森とか密林は深さがあります。
この密林も一体何種類の緑色を使っているのか、熱帯の湿度が感じられ
ます。そして、静かに横笛を吹く女の眼が怖いんですけど(笑)。
部屋のどこにいても、ジッと見つめられている気がするんですよ。
戸松遥さんになら、見つめられたいですけどね(笑)。蛇女はイヤです。
この作品は日本初公開です。いい物を観ました。


ちょっと印象に残ったのはハンマースホイの「休息」。
女性が椅子に後ろ向きに座っている絵です。
何だか想像力をかきたてられます。別に戸松さんには似ていませんよ(笑)。
100点以上の美術品を鑑賞すると疲れます。
絵に込められた画家の執念というか、想いは確かに感じますからね。


だから、以前戸松遥さんのブログで「この前大学のレポート関係で1日に
美術館を3つ回ったんです」とあって驚きました。
戸松さんの色んな意味での体力は相当なものだと思います。
多分、それも才能の一形態なのかな。
さて、「オルセー美術館展」は8月26日までやっていますが、毎週火曜日は
休みです。
創造的な仕事をしている、あるいはしたい人は行くべきですね。


私は最低でも、もう1回は行くつもりです。