映画「ブラック・スワン」を観ました

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.paslog.jp/


はい、面白かったです。
バレエ・サイコ・スリラーという感じの映画で、主演は「レオン」でデビュー
した演技派女優、ナタリー・ポートマンです。
ナタリー・ポートマン、すっかり大人の女性になっちゃって・・・。
私がこの映画を観た理由は、戸松遥さんや高垣彩陽さんについて思う所が
あったからなんです。こんな理由で観るのは私だけか(笑)。
バレエ・白鳥の湖がストーリーのカギなので内容を知っていたり、バレエを
観た事があると余計面白いです。
私は、本場ロシアで観た事がありますが何か?ちょっとドヤ顔です(笑)。


さて、ストーリーとしてはニナ(ナタリー・ポートマン)が白鳥の湖の主役に抜擢
されます。ニナは才能もあるけど、誰よりも練習する生真面目な努力家です。
清純な白鳥の踊りは素晴らしいのです。それはほとんど彼女自身だからです。
しかし、王子を誘惑する官能的な黒鳥(ブラック・スワン)は上手く踊れないの
です。この二つの役は、通常同じ人が踊るのですよ。
振付師からは、官能性がないのは性的な経験が少ない事を指摘されて関係
を迫られます。
また、かつてバレリーナだったニナの母親は自分の夢をニナに託しています。
娘を溺愛して過剰に干渉します。ちょっとエキセントリックです。
すいません、あやひー母を連想したのはここだけの話です(笑)。
ライバルのリリーは官能性だけは充分で、ニナの役を狙っています。
こういう周囲のプレッシャーの中でニーナは徐々に狂気に落ちて行きます。
現実と幻覚の場面の区別が付かないような演出です。
大げさな音で驚かすのは、悪しきハリウッド映画の伝統で逆効果です。
静かに狂って行く演出の方が、はるかに怖いと思うけどなぁ。
メリケンの考える事は分からんです(笑)。


ナタリー・ポートマンは、前半の悩む演技が良いです。
ちょっと痛々しいところも含めて、自分にないものを求められる焦りと、それ
でも主役を踊りたい気持ちの表現が素晴らしいです。
その気持ちが伝わって来る演技です。
私は、この映画を「自分に全くない要素の演技を求められる役者」の話と
読み替えました。それしかないだろ(笑)。
戸松遥さんと高垣彩陽さんは「役柄になり切るタイプ」「役を生きるタイプ」
と認識しています。役へのアプローチ方法は違うと思いますが、目指す所は
同じだと思います。
そういうタイプの役者にとっては、それは大きな関門になると感じます。
まさか、殺人者の役をやるからと言って、実際に殺人をする訳には行かな
いのは自明です。だったら、どうやって「役柄になり切る」のか。
あやひーは一応そういう役の経験はあるけど、もっとリアルな演技が必要
な舞台とか実写ではどうなのか。
そんな事を考えつつ、映画を観ていました。


ニナの黒鳥(ブラック・スワン)の踊りは、CGによる衣装の変化から完璧に
踊った事が分かります。でも、そこに至るまでの描写は説得力はあまり感じ
られませんでした。どうやって官能性を獲得したのかが安易かな。
外面的な部分だけで、精神的な部分が描かれていないんですよね。
そこは、一番デリケートな部分なのでハリウッド映画では荷が重いのか。
でも、全体としては良く出来た映画です。少しの芸術性と娯楽性のバランス
が良いのです。テーマが白鳥の湖でなかったら、単なるエロ・スリラーに
なっていたでしょう(笑)。
ナタリー・ポートマンは1年間バレエの特訓をしたそうです。一流役者の
集中力は桁違いなので、相当上達したと思います。かなりの部分は自分で
踊っていますし、身体つきもバレリーナみたいです。凄いけど、役者という
のは大変な職業です。


ハルカスとあやひーに観てもらって感想が聞きたいです。