「へうげもの」が面白い

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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発音は「ひょうげもの」です。「ひょうげる」とは、ふざける、おどける
の意味です。まぁ、そういう人物が主人公のコミックで4月からNHKでアニメ
放送されています。
コミックの存在は知っていましたが、アニメを途中から観てハマりました。
主人公は、織田信長の家臣で200石の古田左介(ふるたさすけ)、後に大名と
なる古田織部(ふるたおりべ)です。
私は「織部焼き」を作った、インテリヤクザじゃなくてインテリ大名・趣味
人のイメージだったんですが、これがとんでもない人物になってます(笑)。


いつ死ぬかも分からない戦国時代の武将でもあるので、キレイ事ではすま
ない背景もあります。
一言で言えば、古田左介は茶道具に魅せられた「数奇者(すきしゃ)」一種
のマニアです。良い茶道具が大好きで、欲しくてたまらないけど経済力が
ないのです。茶会を開きたい、茶道具が欲しい、だから手柄を立てて出世
したい、というやや倒錯した発想です。
茶道具を手に入れるためには、平気でウソを付き人を騙そうとします。
根が善人なので、あんまり上手くはいかない事が多いのですが。
「物欲」の塊みたいな人物で、それが態度にすぐ出るので信長には面白がら
れています。


このコミックで特徴的なのは、驚きや喜びや落胆などの表情をストップ
モーションのように描いている事です。写楽の絵みたいに。
これは、とても印象に残ります。
ただ、アニメにすると絵が流れていくので印象が弱いかな。
全体的に考証はちゃんとしていますが、不明な部分は独自の解釈が入り
ます。例えば、信長が暗殺されると羽柴秀吉は毛利と戦っている筈なのに
ものすごい勢いで帰京します。これは、秀吉が信長暗殺を事前に知ってい
たという解釈です。だから、事前に準備していたのです。何故知っていた
かというと、暗殺の首謀者が秀吉(と千利休)だからで、さらに直接の犯人
が秀吉という解釈です。無茶とも思えますが否定の証拠もない(笑)。
内容はかなりコミカルな部分も多く、バランスがいいです。事実だけを
描くと暗い時代のお話なんですが「異常な物欲」を描いているので、そこ
に笑いが出ます。


コミックは12巻まで出ていますが、アニメは9話の段階で2巻までなので
かなり原作に忠実で丁寧な作りです。さすが予算のあるNHKです(笑)。
明智光秀が反乱を起こすところまで来ました。光秀は私利私欲のない教養
のある人物として描かれています。信長の武力による統一に危機感を持っ
ていて「波風立たぬ泰平かつ淡麗な世を作る」事を理想としています。
いかにも、無理そうですけどね。
行軍する光秀の場面が秀逸です。コミックでは「昭和ブルース」の歌詞が
書かれているんですが、アニメでは光秀が歌っています(笑)。
 生まれた時が 悪いのか
 それとも 俺が悪いのか
 何もしないで 生きてゆくなら
 それはたやすい ことだけど
ものすごいインパクトで爆笑ですよ。これはアニメの勝ちです
そして、光秀の心情にこれほどピッタリの歌詞もありません。脱帽です。
古田織部は大名になり、長生きしますが最後は切腹します。
コミックも楽しみながら読もうと思います。アニメは全39話で、どこまで
やるんでしょうか。


戸松遥さんやスフィアの皆さんは、読みそうにないコミックやアニメだな。