「無伴奏チェロ組曲」を求めて バッハ、カザルス、そして現代

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.paslog.jp/


カナダ人ジャーナリスト兼ポピュラー音楽評論家による初めての著作。
盲点を突かれました。まさか、素人がこんな本を書くとは。
まぁ、ポピュラー音楽評論家ではありますが、クラシック音楽やバッハに
ついては全くの素人です。多分、最初は私以下だったと思います(笑)。


著者は、新聞連載のポピュラー音楽評論の仕事が終わり、退屈しのぎに滞在
しているホテルの近くで行われたコンサートに行きます。
 それまで名前を聞いたこともないチェロ奏者が、これまたそれについて
 何ひとつ知らない音楽を演奏するのを待っていた
そして、たちまちこの曲の魅力に取り付かれた著者は探求の旅に出ます。
その行動力は、流石に凄いです。
特に目新しい事実はありませんが、素人が読んでよく分かるように「無伴奏
チェロ組曲」に関する詳細な解説になっています。
バッハやカザルスについても詳しいです。
著者は、失われたこの曲の自筆楽譜を探しますが、それは実現しませんで
した。でも、見つけたい気持ちは分かります。
それによって、この曲のかなりの謎は解明されるからです。
著者は、この曲を弾きたくてチェロを習い始めたりします。
それは、自然な流れですし同じ素人として共感しますなぁ。
全体に、とても面白く読めました。


やっぱり奇妙なのは、200年もの間単なる練習曲とみなされていた事です。
20世紀初頭に、カザルスによる再発見と演奏によって歴史的名曲と認定
された訳ですが、それまでの専門家は何をやっていたのか、不思議です。
バッハの曲は、音符通りに演奏しても音楽にならない事が多いのです。
無伴奏チェロ組曲」は速度の指定も無いし、強弱の指定もありません。
だから、演奏者の自由になる部分が多く色々と刺激されるのでしょう。
多くの演奏を聴くと、この曲は演奏者の気持ちや、ある時は人間性まで
映す鏡のような存在だと思えて来ます。こういう曲は稀有の存在です。


ところで、戸松遥さんやスフィアの皆さんは、この曲をちゃんと聴いた事
はあるのでしょうか。普通はないだろうなぁ。
あやひーは音大卒ですが、声楽科なので器楽曲はそんなに聴いてないよう
に思いますし。
チェロの音は、人間の声に近いと言われているのであやひーも気に入るさ。
ハルカスはベースをやっている理由を「低音が好き」と言っているので、
気に入る可能性はかなりあると思います。いや、思いたい(笑)。
うーん、みなちゃんの好みではないような気がしないでもない。
渋い趣味のあきぽんは、案外相性がいいかも。


最近好きなのは、一番暗い曲第5番のプレリュードとガヴォットです。