「へうげもの」14巻が出たよ

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.paslog.jp/


アニメの「へうげもの」も千利休の死で一旦最終回。
原作14巻は、関が原の戦いの前で、徳川家康石田三成が自分の陣営に
諸将を引き入れようとする展開です。


最初の頃から思っていたけど、作者は本当は茶聖・千利休(せんのりきゅう)
を描きたかったのではないでしょうか。
利休の描き方が半端じゃないです。
大体は、細い目で冷ややかな表情なんですよ。
でも、時々驚いた表情をするんですが、これが人間的で良いのです。
特に印象的だったのは、弟子の山上宗二を殺された時の憤怒の表情。
作画に気合が入りまくってます(笑)。
利休は、切腹直前に大暴れするのですが、これには色々な意味もあって
印象的でした。実際に利休は身長180cmあったらしく、意外と体育会系なの
です。体力のいる魚屋出身だしね。


主人公の古田織部は、数寄者(すきしゃ)として趣味の世界を極めようと
しているのですが、ただそれだけなので何か軽いです。
古田織部の師匠でもある千利休は、「わぴ・さび」の価値観を広めようと
する野望があります。
そのためには、豊臣秀吉と組んで織田信長を暗殺します。
更に、山上宗二を殺された恨みから秀吉暗殺を狙います。
茶道の頂点を極めた人間なのに、己の欲望と言うか「業(ごう)」に取り付か
れた様は、凄みがあります。
この作品の中で、一番複雑で深みのある人間です。
流石に、千利休を主人公にしてしまうと、話が重くなり過ぎるのでしょう。
それでも、作者の千利休に対する想いは、ビンビン感じます。


話としては、千利休はもう登場しないのですが、その精神は弟子の古田織部
などを通じて、通奏低音のように響いています。それが唯一の楽しみかな。
さて、スフィアでこの作品を読んでもらうとしたら・・・。
戸松遥さんにはどうかな。合うか合わないか、両極端な気がします。
高垣彩陽さんは、単に「少女マンガ脳」だと合わないでしょうね。
寿美菜子さんは、案外読みこなせそうです。
豊崎愛生さんは、レベルの高い漫画読みなので、気に入ると思います。


アニメ版千利休役の田中信夫さんが、素晴らしい演技でした。