「87CLOCKERS」二ノ宮知子 が熱いと言うか液体窒素(笑)

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.paslog.jp/


「エイティセブン・クロッカーズ」と読みます。
「のだめ」作者による新作コミックです。まだ第2巻が出たばかりです。
絵柄も登場人物も「のだめ」とほぼ同じなんですが、題材が面白いのです。
自作パソコンの「オーバークロック」です。
オーバークロック」と言うのは、パソコンの処理スピードを上げるため
の技術です。
例えば、1.0GHzで動作するCPUを1.2GHzで動作出来れば、20%速くなります。
これは非常に大きなメリットですが、色々と危険も伴います。
それだけ電力を余分に使うので、発熱も大きくなります。
電子部品はは大体熱に弱いので、故障や破壊の原因ともなります。
まぁ、CPUメーカーも「オーバークロック」を想定した設計をしている事が
多いようです。
いずれにしても発熱は大問題なので、冷却が重要になります。
極端になると、液体窒素(沸点−196℃)で冷却するそうです。
液体窒素って簡単に手に入るのか(笑)。
そんな、パソコンの性能向上目的よりも「オーバークロック」の数値上げに
熱中する人達の物語です。それにしても超マニアックな世界だ(笑)。


男性漫画家がこのテーマで書くと、技術問題に深入りし過ぎると思いますが
流石に女性作者、恋愛を絡めて上手いです。
主人公は音大でヴァイオリンを専攻している一ノ瀬奏(いちのせかなで)君。
競争心ゼロの草食系男子です。
「こんな闘争心あふれる人ばかりいる音大なんかに入るんじゃなかった」に
笑いましたが、確かに音大に入るような人はそうだろうなぁ。
あやひーや周囲はどうだったんだろうか、と思いましたよ(笑)。
さて、そんな奏が「オーバークロック」に関わっている女性に一目惚れした
事から物語は始まります。
既に「オーバークロック」の職人的な部分が語られていて興味深いです。
私も完全な自作パソコンは未経験ですが、マザーボード交換したり、部品
交換したりはやりました。完全なデジタルの世界かと思いきや、A社とB社の
部品は相性が悪い(動かない)とか、案外アナログな面もあります。
冷却に関して、空冷派(少数派)と水冷派の対立も面白い。
普通に考えれば、液体窒素などの水冷派が圧倒的に有利そうだけど。
空冷って、「頭文字D」のハチロクみたいな感じです。
「空冷を極めずして窒素なし」とか痺れますなぁ。
「使い切れない電圧を入れるって、初心者がいいヴァイオリンを持つくらい
ムダなの」って流石に「のだめ」の作者らしい表現です。
巻き込まれ型の主人公ですが、「オーバークロック」ゲームにおいて才能の
片鱗を見せる場面もあり今後の展開が楽しみです。


ストーリーもキャラも面白いので、スフィアの皆さんにもオススメです。