斎藤千和さんの演技論が面白い

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.paslog.jp/


声優グランプリ2013年2月号の付録に「声優読本2013」というのがありました。
声優志望者のためのテキストみたいに謳っていますが、特定の養成所の宣伝
です(笑)。ミューレが作ったら面白いのにねぇ。


さて、そんな「声優読本2013」ですが、斎藤千和さんの演技論が非常に興味深い
ものがあります。
斎藤千和さんと言えば、「魔法少女まどか☆マギカ」の暁美ほむら役とか、最近
では「まおゆう魔王勇者」のメイド長役でしょうか。
メイド長の声を、何度聴いても斎藤さんと認識出来ません。
それだけでも凄いと思っているのですが、ご本人に言わせると
「こういうキャラだからこんな声で演じようとは考えません。というより私自身
声を変えようと意識したことがないんです」
それは、日常生活で「声を変えよう」と意識しないように、キャラクターもそんな
事は考えていないだろう、という思いからだそうです。
そして、どの役の演技を聴いても「私の声、全部同じだな」と思うそうです。
既に、ユニークな視点です。


「役によって意識して変えている事があるとすれば、思考速度、思考感覚、鼓動の
速さ、呼吸の速さなどです。他人から何かを言われた時、すぐに反応できる人
なのか、それとも何手も先を読む人なのか。そうやってキャラクターの人物像を
掘り下げていくと、自然とお芝居も変わってくるんじゃないでしょうか」
「思考速度」なんて概念がどこから出てきたのか、すごく知りたいところです。
キャラクターを掘り下げる話は、あやひーもしていました。
そうそう、あやひーも「男の子と女の子の呼吸法は違う」と凄い事言ってました。
声優さんの「思考感覚」ってどうなっているのだ(笑)。


「私はお芝居をしようと意識した事がないのですが、昔から変わらず大事にして
いるのは、自分のためだけにお芝居をしない事」
声優が作品に関わる時間は、他のスタッフより格段に短いからだそうです。
デビューしたての頃に少しはあった「自分の演技の幅や技術をひけらかしたい
気持ち」も、最近では全くないそうです。
「ですから「色々な演技が出来るんですね」と言われるのは、大変嬉しいのですが、
私としてはあまり褒め言葉には感じません。それよりも作品に対し熱烈な思い入
れを持っている方に「あなたにしかこの役は出来ない」と言われるのが最上の褒め
言葉ですね」
後は、演劇のセオリーを知らなかったから、苦労して自分流を編み出した事が今
でもお仕事を頂いている、というのも印象的でした。
自然体の部分は、戸松遥さんに似ていると思いましたが逆かな。
つまり、ハルカスが尊敬する斎藤さんのお芝居に影響された可能性が。
そして、一部分析的なところは、あやひー的にも思えます。
以前に、ハルカスとあやひーについて「目指すところは同じでも、アプローチ
方法が違う」と書きましたが、今回もそんな感じがします。
登頂ルートは無数にあるというのが分かりやすい比喩かな。


「声優の仕事の8割はつらい事」とも。節制があるから、残りの2割が楽しいと。