ミュージカル『ZANNA-ザナ a musical fairytale-』を観ました

高垣彩陽さん、『ZANNA』の無事開演おめでとうございます。初日のステージ
を観劇させてもらいました。あと1回行きます。
面白かったです。もちろん、私は高垣彩陽さん演じるケイト中心に鑑賞して
いるので、すごくバイアスのかかった見方になっているのは当然ですが(笑)。


ストーリーは、同性愛が正常で異性愛が異常とされる世界。
そこで魔法の力を持つ高校生ザナは、同性愛カップルを誕生させようと日夜
励んでいます。しかし、お節介にもホドがあります。どう考えてもストーリー
上あんまり必要とも思えません(笑)。
物語の最後で、その魔法が存在意味を発揮する、そのための役回りです。
高垣彩陽さん演じるケイトは優等生ですが、異性愛を肯定するミュージカルに
出演して異性(スティーブ)と恋をしてしまいます。
今までの友達から差別され苦しみますが、最後はザナの魔法(代償あり)で一件
落着します。
扱っているテーマが「差別」なので、現実には簡単な解決策はないでしょう。
でも、エンターテインメント作品としては皮肉が効いていて面白いです。
劇中で、異性愛が迫害される場面は、確かに心がザワつきますからね。
最後の決着は、安直な気もしますが、そこは「ファンタジー」という事であれ
以外だとシリアス過ぎるのでしょう。


さて、あやひーの歌唱、演技、ダンスですが素晴らしいと思いました。
期待はしていたけれど、想像以上の出来でした。
経験者揃いのキャストに混じって、遜色ないどころかヒロイン役としてオーラ
を放っていました。
スフィアやソロのステージ、実写ドラマ、スフィアクラブの経験を充分に生か
していました。
あやひーは「経験値が低い」と謙遜していますが、そんな事を感じる観客は一人
もいないんじゃないかな。それくらいチャーミングなヒロインでした。
実は、意外に思われるかも知れないのですが、歌唱が不安でした。
あやひーは、もちろん上手いのですが、声量で押すタイプではないと思っていま
した。アニソン歌っている時は目立たないけど、他のソプラノ歌手を聴くとね。
小柄なので声量的には不利な筈で、他の出演者の声量の中で目立たないのでは
と恐れていたのです。
しかし、それは杞憂でした。あやひーの透明感のある歌声は、ヒロインの可憐
さや強さを表現するのに、非常に効果的だと思いました。
演技的にも難しいと思いますが、役に深く入っているのが感じられました。
表情の変化などを観ていると、「役を生きている」感じさえします。
ここまでヒロイン役に合う容姿や歌声、演技とは。実際に体験しないと分から
ないものです。歌唱能力にもまだまだ余力があるし、ミュージカル俳優として
の将来性は大きいのではないでしょうか。
キスシーンやお姫様抱っこにはドキドキしましたが、これからは心の準備も必要
だな(笑)。


そうそう、ZANNAの逆転世界ではアメフトがマイナーでチェスがメジャー。
これは、現実のアメリカではチェスがマイナーという事の反映です。
アメリカではそうかも知れないけど、世界的に見れば圧倒的にチェスがメジャー
なんですよ。一時はチェスに熱中した人間としては一言言っておきたい(笑)。
チェスは世界150ヶ国以上で競技人口5億人と言われているんですよ。
アメフトなんて、競技人口1000万以下です。
このあたりの脚本には、アメリカ中心主義が滲んでいますなぁ。


あやひー、あんなに激しく動いて「腰痛」が心配です。