コミック「いちえふ」は微妙に面白い(笑)。

3月11日で、東日本大震災からちょうど4年です。
私はどうしても、豊崎愛生さんの「消えた日記」を思い出してしまいます。
あれは、本当の気持ちだったと思いますし、なぜ消えたのか残念な思いは残ります。
さて、このコミックは、福島第一原子力発電所で働いた漫画家の「原発ルポ漫画」と
呼ぶべきものです。
福島第一原子力発電所は、正式な略称は「フクイチ」らしいが、地元では「いちえふ」と
呼ぶそうです。これがタイトルの由来です。


文章では分かりにくい内容も、絵になっていると流石に分かりやすいです。
この作者が、売れない漫画家(失礼!)だったために原発作業員になった経緯は色々と
紹介されていますが、こういうのを「天の配剤」と言うのでしょう。
確かに、作業のディテールは経験した人にしか分かりません。
マスクが3種類のメーカーの物があり、人によって好みが違うとか、作業着、手袋、靴
の詳細も興味深いです。
作業の実態や作業員の生活も、当たり前だけどリアリティーがあります。
しかし、6次下請けとか、日本には凄いカースト制度があったもんですなぁ。
確かに面白いのですが、現場に密着しすぎて、大局が見えていない気がします。
つまり、原発の間抜けさや事故の深刻さがスルーされてしまっています。


事故から4年経っても、メルトダウンした原子炉の燃料棒に触れる事さえ出来ません。
相変わらず、放射性物質は漏れ続けています。
そして、汚染された冷却水は増え続け、収容するためにタンクも増え続けています。
人間が全くコントロール出来ない原発は「技術」と呼べる代物ではありません。
最初に、せめてチェルノブイリみたいに石棺方式を取るべきでした。
もちろん、原発推進した役人や御用学者に作業をしてもらって、最後のご奉公を果たし
てもらえばいいのです。今からでも遅くないからやらせたら?
たかがお湯を沸かすために、何で綱渡りの原発なのか、普通の人には理解不能です。


物理を学んだメルケル首相は廃止を決断し、学習能力欠如の某首相は輸出をたくらむ(笑)。