高垣彩陽さん出演の舞台『元カレ』千秋楽を観ました。

2015年6月12日(金) 六行会ホール15:00開演。


結局、私は全13公演のうち、1回目(最初)と13回目(最後)を観劇しました。
今回は、あやひーの演技を重点に観ました。前回もそうだったけど、今回はそれ以上(笑)。
前回の経験から、あやひーの表情が見えにくかったので、今回は双眼鏡を持参。
あやひーが登場するたびに、その表情に注目していました。何とか見えました。
基本的な感想としては、前回と同様です。
ただ今回は、佐藤カンナさんの人物像というか人生を中心に観賞しました。
でもやっぱり、謎だらけの人でした(笑)。
前回の感想で、「6人の多重人格者に見えない事もない」と書きましたが、パンフレットの
あやひー発言によると
「演出家の岡本さんからも、それぞれのカンナ像は全然違うキャラクターにして欲しいと
言われたので」とあります。
私の感想も、案外的外れではなかったようです。
6人のイメージ、あるいは理想像としての佐藤カンナ。
その6人のイメージに拮抗し得る佐藤カンナ像。
それらをキッチリ演じないと、推理劇としても底の浅いものになってしまいます。
喋りまくる6人の後に出てきて、その場面を支配する存在感。
私は、あやひーの演技に、確かにそれを感じました。
6人を声質を変えての演じ分け、それが出来る役者って、そんなにはいないでしよう。
この役にあやひーを抜擢した人は流石と言うべきです。


役柄への深い理解は、役者としてのあやひーの特質でもあります。
パンフレットでの対談では、佐藤カンナへの溢れる想いを語りまくっていますが、私なりに
纏めると「無償の愛を探し続けた女性」と理解しているようです。
だが一方で「私はカンナという人物の輪郭がハッキリしていく度に「なんでこの人殺され
なきゃいけなかったんだろう」とすっごい悲しくなっちゃって」と正直な気持ちも述べて
います。
カーテンコールでのあやひーは、時々は笑みを見せながらも、少し寂しそうにも見えました。
それは、芝居が終わってしまう寂しさと同時に、悲惨な佐藤カンナの人生への役柄を超えた
複雑な気持ちだったと思うのは、ファンとして考え過ぎなのでしょうか。
いずれにしても、あやひーの演技には魅了されたし、舞台経験を重ねるごとにどんどん成長
しているとも感じました。
あやひーには、テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』のヒロイン、ブランチを
演じてもらいたいなどと妄想してしまいました。
かつて、映画版で名女優・ヴィヴィアン・リーが演じた役です。
あやひーは、ブランチの人生に何を見るのでしょうか。


佐々木のコメディーシーンがエスカレートしてました。
劇中で唯一のコメディーシーンでもあり、佐々木の唯一の見せ場(笑)。
そのため、徐々にエスカレートしていったのは、容易に想像出来ます。
演じる岩崎祐也さんは、アドリブ入れてノリノリです。
気持ちは分かるけど、逆に全体のトーンからはますます浮きまくっています。
そして、それを見ている他の役者さんが、素で笑っているのは頂けないなぁ。
お芝居の空間で、役者が素になってどうするんだよ。
観ている観客は(少なくとも私は)、気持ちが舞台から日常に戻ってしまいます。
お客には受けていたので、こういう場面を入れたい気持ちは分かるんですが。


まぁ、本質的には、イケメン達を見せるお芝居なので仕方ないのか・・・・。