ヘヴィータンク号の憂鬱。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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彼はきっとショックだったに違いないのです。


2018年3月4日(日)に行われた、競馬の弥生賞(中山・芝2000m)が一部で話題です。
出走したヘヴィータンクというお馬さんが、記録的な大差負けをしました。
勝ち馬のタイムが2分1秒0ですが、ヘヴィータンクは22.9秒差のドンジリでした。
まぁ、2〜3秒差の負けは普通にありますが、良馬場で故障もしていない馬の22.9秒
差なんて見た事も聞いた事もありません。調教(練習)より遅いタイムです。


2〜3秒差の負けだけなら、「しょうがねぇなあ」みたいな笑い話で済んだと思い
ますが、問題をやや複雑にしたのが、ヘヴィータンクが未出走馬だった事です。
今まで一度もレースに出走した事が無い馬が、重賞のようなグレードの高いレース
に出る事が異例過ぎます。
レースには、出走基準・優先順位があるので、普通は未出走馬は出走不可能です。
今回は、登録馬が少なかったので出走出来ました。


レースに出走すると、色々な名目で賞金が貰えます。
今回のヘヴィータンクの場合は、10頭立ての10着ですが、出走奨励金(本賞金の2%)
が108万円、特別出走手当が43.1万円で、トータルで151.1万円です。
馬主の取り分は80%なので、約120万円の収入となります。
もし、ヘヴィータンクが本来の新馬戦で10着だったら、馬主は約33万円の収入です。
馬主の立場からは、今回の出走は結果はともかく嬉しかった筈です。


もちろん、勝ち目のない出走には批判もありますが、ルール的には問題ありません。
ヴィータンクを管理しているのは、栗東森秀行調教師です。
G1レースを何度も勝っている一流の調教師です。
未出走馬を重賞に出走させた真意は不明ですが、馬主には感謝されたと思います。
もし、誤算があったとすれば、歴史的な惨敗振りに、調教師としての技術に疑問を
持つ人が出たかも知れません。
特に、ヘヴィータンクの単勝を買った人達です。
ヴィータンクの単勝は約200万円も売れていますが、ちょっと競馬を知っている
人ならば絶対に買わないでしょう。ホントに単勝を買った理由を知りたいです(笑)。


さて、災難だったのはヘヴィータンク号です。
本来は同じ立場の馬が出走する新馬戦の筈が、経験豊富な馬達の中に投げ込まれた
のですから。
経験馬達は「俺は走るぜ!俺は走るぜ!」みたいに興奮しています。
何の準備も出来ていないヘヴィータンクは、身の危険を感じたのだと思います。
「あの人達(馬だけど)のそばにいるのは危険だ」と思って、異常なまでに離れた
結果があの大差だったと思いますよ、結構マジで(笑)。
いくら何でも、調教より遅いタイムなんて、それ以外には説明不可能でしょう。
馬は草食動物なので、すごく臆病なのです。
彼はきっとショックだったに違いないのです。大事な事なので2度言いました。
これからの彼が心配です。精神的な後遺症が無ければよいのですが。


ここまで書いてたら、ヘヴィータンクの引退が発表されたようです。
引退後は乗馬になるそうです。


大人達の思惑に振り回されたヘヴィータンクには、幸せになってもらいたいです。