将棋A級順位戦の6人プレーオフより驚いた事。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.seesaa.net/


それは、渡辺明棋王(33)の降級でした。
A級に上がってから8年、名人挑戦こそ逃していますが、毎年勝ち越していて常に
下馬評では優勝候補になっています。抜群の安定感です。
タイトルも、現在棋王を保持していますし、竜王棋王は永世資格を持っています。
通算獲得タイトル期数は19で、現役では羽生竜王の99期に次いで2位です。
史上4人目の中学生棋士でもあり、いわば将棋界のエリートです。


そんな渡辺棋王ですが、今期順位戦は黒星が先行しては白星が追い付くという流れ
での4勝4敗から、まさかの2連敗で降級となってしまいました。
最終局の対三浦九段戦(何やら因縁めいていますが)は勝てば残留という一局でした。
今年度は、3/6現在で成績が44戦19勝25敗(勝率0.432)と初めての5割以下が確実な
状況です。竜王位も失ったり不調が目立ちます。


渡辺棋王のブログが興味深いです。
2017年10月のブログで、最近の将棋における考え方の変化に付いていけない心境が
語られていました。自局を振り返りつつ
「うーむ、やはり矢倉は古い戦法なんでしょうか。桂と引き換えに歩を2枚もらう
 ような仕掛けが普通に見られるようになったのは以前にも書きましたが、自分は
 昔ながらの桂得のほうが大きい、という考えからなかなか離れられません。なので
 桂で攻められても怖くない、という考えになってしまい、雁木の流行にも懐疑的
 だったんですが、時代についていけてないですね」


将棋世界」誌2018年4月号でも
 「雁木はやられたらイヤだけど、いまのところ自分でやる気はしない。やっぱり
  矢倉のほうが形がしっかりしているのでいいと思ってしまう」
と述べています。
自分のある意味では弱味をアッサリ語るのが、渡辺棋王らしい率直さです。
普通は、こんな事とても言えません。
逆に、これを語っても不利になるとは、全然思ってない(笑)。
こういう、合理主義的なところが好きなんですよ。


まだ老け込む年齢ではないので、来期の復活を期待しています。