藤井聡太四段(15)のNHK杯2回戦。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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9/3に行われた藤井四段対森内俊之九段のNHK杯トーナメント2回戦。
森内九段は、永世名人(十八世名人)資格者で去年までA級在位でした。
今まで藤井四段が公式戦で対局した中で、一番の格上相手です。
藤井四段に対する注目度が高く、通常は録画放送なのですが、今回は異例の生放送
となりました。


解説の聞き手はいつもの藤田綾女流二段、解説は普段はプロ棋士一人ですが、今回
佐藤康光九段(将棋連盟会長)と中村太地六段の二人です。
解説は二人が交代で担当していました。二人とも非公式戦で藤井四段に負けています。


さて、対局は森内九段が先手番で得意の矢倉囲いへ。
後手の藤井四段は、矢倉でも流行の左美濃でもなく、低い構えから右四間飛車で先制
攻撃を仕掛けます。颯爽とした若武者ぶりです。
藤井四段は飛車先の歩交換を拒否せず、手得を生かして攻勢を取ります。
先手は堂々と矢倉に組みましたが、何と居玉のまま(笑)。
藤井四段の攻めが機敏なので、王様を動かせなくなりました。


そして、森内九段は3五歩としましたが、只で歩を取られる手でした。
解説の佐藤九段も驚いていましたが。
後から7九角と引いて取り返す狙いですが、これは疑問手だったようです。
最初に7九角としておけば、歩交換から角が好位置に進出出来ました。
結局、この歩を取り返せず、後に3七歩成りと上手く捨て駒に利用されました。
藤井四段の2度目の8八歩が、一見緩手ですが最後になって王様を挟撃する役目になる
という展開。
まさか、そこまで読んでいた訳ではないでしょうが、結果的には決め手になりました。
藤井四段の完勝といえる内容でした。
うーん、もうノンビリ矢倉に組む時代ではなくなったようです。
これで藤井四段の成績は
通算39勝5敗(勝率88.64%)、今年度29勝5敗(勝率85.29%)となりました。


増田四段の「矢倉は終った」は、将棋史の名言になるかも知れません。