第65期王座戦五番勝負第1局には、鳥肌が立った。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.seesaa.net/


羽生善治王座(46)に挑戦するのは、中村太地六段(29)です。
中村六段は、第61期にも挑戦し2勝1敗とタイトル奪取にあと1勝と迫りましたが、
羽生王座が逆転で防衛しました。
中村六段は後輩棋士の活躍もあるし、心中期するところがあるようです。
雑誌のインタビューでも、そのように語っています。


さて、9/5の第1局は中村六段の先手番でした。
中村六段が矢倉囲いから棒銀で攻勢を目指します。
羽生王座は、流行の雁木です。
序盤早々、中村六段の銀は立ち往生して攻めが続きません。
逆に8筋を詰められ、5、6筋に歩を垂らされて拠点を作られます。
中村六段は、素人目にも作戦負けに映りました。


夕食前あたりでは、テレビ解説も8:2で羽生王座の有利で、終局の雰囲気もあり
ました。羽生王座からの攻め手順は多くありますが、中村六段からの有効な攻め
はない状況です。
私は「もう終りだな」と思い、ゆっくりと夕飯を食べてました。


戻って見ると、羽生王座が決めに出てしくじったようです。
中村六段の王様は敵陣にまで逃げ回り、なかなか捕まりません。
私が見た時は、「形勢は互角」の評価でした。その前は中村六段が優勢の時期も
あったようです。
それでも、中村六段の王様は綱渡り的に逃げ回るだけなので、再び羽生王座が
優勢になっていきます。中村六段の鬼気迫る粘りに驚きましたが、やっぱり負け
かなという感じでした。
中村六段が2二歩と打った時は、解説も「形作り」と言ってました。
「形作り」とは、プロが負けを覚悟した時に盤面を「綺麗な形」にする事です。


ところが、そこから数手後には羽生王座の王様が危険な状況に。
羽生王座にミスがあったようです。
そして、王様が狭いところに入って、羽生王座が突然投了です。
客観的には、まだ互角だったみたいですが。
羽生王座は、投了局面で指摘された2三桂に呆然としていました。
粘る受けの一手ですが、指摘されるまで気付かなかったようです。
持ち時間がなくなり、両者とも延々と1分将棋で読み切れなかったようです。
羽生王座は、体力も精神力も切れてしまったようです。
「いい将棋を指したい」という中村六段が、劣勢から執念の粘りで逆転したと
いう印象です。でも、羽生さんがこんな勝ち将棋を落とすとは・・・。


凄いものを見てしまいました。この勢いならタイトル奪取が濃厚かな。