将棋史に残る伝説の一手!

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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6月5日に行われた第31期竜王戦5組ランキング戦決勝。
藤井聡太七段(15)と石田直裕五段(29)の対戦でした。
石田五段は、現在C級2組で第4期(2014年)加古川青流戦で優勝した実績があります。
昨年度45戦27勝18敗(勝率60.0%)、今年度3勝0敗と好調です。


さて、石田五段の先手で角換わり腰掛け銀になりました。
最近の藤井七段の対戦相手、特に若手は結構藤井対策を練っている印象です。
先輩の意地もあるだろうし、名前を世間に知らしめるチャンスでもあります。
それに、藤井七段の作戦は予想しやすいのです。
相掛かり、角換わり、時々横歩取りですからね。
居飛車党の石田五段にとっては、絶好の機会になります。
本局も研究して臨んだと思われます。


中盤までは互角の展開に見えました。
藤井七段も小技を使ってましたが、1筋を突破した先手・石田五段が希望の持てる
ようにも思えました。ソフトの評価は、ほぼ互角です。


そして、67手目先手▲6三歩打。
これは同金と取ると、数手後の▲7二銀打が飛車・金両取りの痛打になります。
だから、ソフトも金が逃げる手を推薦していました。


ところが、藤井七段は平然と△6三同金と歩を取りました。
当然、71手目▲7二銀打が実現しました。△8六飛と歩を取りつつ飛車を逃げる。
先手としては、この飛車を追い払えば▲6三銀成が厳しい手となります。
後手玉を左右から挟撃体制です。
なので、先手は75手目▲7七歩打で、飛車の撃退を図ります。
7七の地点は、金と桂が利いていたのですが・・・。


76手目△7七同飛成!!が驚愕の一手でした。
飛車と歩の交換で後手の大損です。先手に飛車を渡すと後手玉は一気に危なくなり
ました。ところが、この一手が決め手となる絶妙手でした。
解説のプロ棋士はおろか、ソフトにさえ読めなかった一手でした。


指されてみると、流石にプロ棋士は、その凄さに気付きます(笑)。
金で取っても、桂で取っても、後手の桂打ちからの攻めが速かったのです。
最期は、綺麗に詰ましてしまいました。
▲6三銀成は最期まで、出来ませんでした。それほどの電光石火のヨセでした。
△7七同飛成はノータイムで指していますから、△6三同金の前からこの手順を想定
していた事になります。神かよ!
結果的に、▲7二銀打は悪手でした。
いわゆる「毒まんじゅう」、これを食べたら死ぬという甘い罠でした。悪魔かよ!


△7七同飛成について、AbemaTVで解説の屋敷九段は
「これは将棋史に残る伝説の一手になりますね」と、興奮気味に語っていました。
久保王将「強すぎる」
片上大輔六段「戦慄の寄せ。もはや同じルールの将棋とは思えません」
今泉健司四段「神業です。恐れ入りました」
遠山雄亮六段「将棋では「見るからにすごい手」というのはなかなかありません。
これはまさにそういう類の手」


朝日杯将棋オープン戦決勝での絶妙手▲4四桂について、ほんの2日前に書いたの
ですが、まさか、それを上回る「神の一手」について書く事になるとは(笑)。


藤井七段は、一体どこまで強くなるのでしょうか。ワクワクが止まらない!