藤井聡太七段のC級1組4回戦で考えさせられた事。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.seesaa.net/


8月28日に行われた第77期順位戦C級1組4回戦の藤井聡太七段(16)vs青野照市九段(65)戦。
私はお仕事休みだったので、ニコ生とAbemaTVで観てました。
いつもは、ほぼAbemaTVなんですが、ニコ生の画質がまぁまぁだったのと、ニコ生の
解説が今泉健司四段(45)だったので、ニコ生中心に観ました。


今泉四段は、瀬川晶司五段と同様に奨励会三段までいきましたが、年齢制限により
退会。アマで活躍した後、2007年に作られた三段編入試験に合格して再度奨励会へ。
2年以内に四段昇進という条件をクリア出来ずに再度の退会。
介護士として働きながら、アマ棋戦で好成績を挙げ、プロ編入試験の資格を得て挑戦。
編入試験3勝1敗で、41歳にしてプロ四段になったという苦労人です。
今年のMHK杯1回戦で、藤井聡太七段に逆転勝ちしています。
今泉四段のサービス精神に溢れた明るい解説が好きなんですよ。


さて、藤井・青野戦の話です。
先手青野九段で相掛かりから、先手の棒銀作戦による速攻。。
ところが、アマ初段程度でも分かりそうな(定跡書にありそうな)受けで棒銀は失敗
して後退。何手もかけて進出した銀が、また何手もかけて後退。
その間に後手藤井七段は、右翼の桂を跳ねて(△7三桂)反撃開始。
アッという間に優勢を築きました。


青野九段に何か誤算があったのは確かなのでしょう。
解説陣も、そういった話をしていました。
それからも、どんどん後手が良くなり、先手は有効な指し手が無い状態になりました。
今泉四段も解説に困る状態に。つまり、プロ的には後手の勝勢になりました。
評価値も後手が+2000を超えたでしょうか。


今泉四段は何度も「私ならここで投了してます」と言ってました。
AbemaTVの解説でも、青野九段に対して相当辛辣だったようです。
ところが、青野九段は全然投了する気配がありません(笑)。
青野九段は、若手が早い段階で投了する風潮(?)に不満を持っているという話も
聞きました。
私にも途中から「持ち時間全部使うつもりだな」というのが見えてきました。


だけど、無意味な手を重ねて評価値も後手が+6000とかの凄い数値に(笑)。
今泉四段は、直接的な批判はなく「指す人の自由ですから」とサジを投げてました。
青野九段は、いつもこうなんだろうな、というのは伺えました。
ご自分の信念なんでしょう。
ただ、こういう形で映像が10万人以上の目に晒されるとは思っていなかったので
しょうね。内容が悪過ぎる将棋だったのも、それが目立ち過ぎて不運と言うか。
藤井七段は、今までで一番楽な将棋だったと思います。プロの将棋とは思えません。


コメント欄には、その無意味な粘りを称賛する声もありました。
むしろ、そっちの意見が多い印象でした。
でも、その行為は相手に対しても失礼なんじゃないかな。
ただの引き延ばし行為ですからね。
藤井七段は、終盤勝ちを読み切ると、キョロキョロ周りを見回します(笑)。
今回は途中から、そういう挙動が多かったです。


青野九段は、A級在籍通算11期で「鷺宮定跡」や「横歩取り青野流」などの創始者
だし、序盤研究で知られた棋士です。前期までB級2組と頑張っていました。
それだけに、解説のプロ棋士達が呆れるような行為は避けて頂きたかったです。


正直、私には「見苦しい」という感想しか浮かびませんでした。