「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」に行きました。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.seesaa.net/


お目当ては、「糸巻きの聖母」と「手稿」です。

それ以外では、スケッチぐらいしかダ・ヴィンチ本人の作品はありません。
後は、同時代の画家やダ・ヴィンチ作品からの模写がほとんどです。
残っている物件が少ないので、仕方ありません。
「糸巻きの聖母」は「モナ・リザ」と同じくスフマート(ぼかし)技法が使われています。
これは、写真では良さが伝わり難いです。
とにかく、繊細で気品があります。神々しいとも言えるかな。
この作品を観るためには、30分位行列しなければなりません。
その時に、同じモチーフで描かれた同時代の画家の「糸巻きの聖母」も眺めていたのです
が、比べて観るとその差が際立ちます。
その他の「糸巻きの聖母」は、輪郭線も強く、色彩のコントラストも強いのですが、何と
言うのか、世俗的で「品が無い」のです(笑)。
ダ・ヴィンチの「糸巻きの聖母」は、バランスに微妙な点もあるような気はするんですが、
観る者を引きこむ、不思議な魅力があります。「モナ・リザ」にも通じるものがあります。


さて、「手稿」は、ダ・ヴィンチの色々な研究を記したノートです。
半分位しか残ってないようです。
しかも、ほとんどが鏡文字で書いてあって、普通の人には読めません。
これは、アイデアが盗まれる事を警戒したからです。
しかも、アイデアの核心は、ダ・ヴィンチの頭の中にあったので、ダ・ヴィンチの研究が
全ては残ってはいないのです。
それにしても、ダ・ヴィンチの合理的・科学的思考には驚かされます。
宗教が支配していた、15〜16世紀の人なんですよ。
宗教的な世界観に対して、皮肉まで述べています(笑)。
それにしても、偉大な科学者、発明家であってしかも史上有数の芸術家であるなんて、今後
二度と現れないタイプでしょうね。


美術展に行ったのに、知的興奮を覚えました。稀有の経験でした。

「天野喜孝展」に行きました。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
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天野さんは、画家、キャラクターデザイナーイラストレーターとして有名な方です。


この人の表現の幅広さと、画力に驚かされます。
タツノコプロ(決してツチノコプロではないよ)時代からの進化・変貌振りも凄いけど、
通奏低音のように流れる一貫した美意識みたいな物が感じられました。
立ち姿における卓越したデッサン力や、人物の妖艶さ、女の子の可愛さも素晴らしいです。
人物画の眼を見ていると、引きこまれそうになります。


タツノコ・ガールズ」という作品を観た途端、「ミュージックレインガールズ」という
言葉が頭に浮かぶ私は病気だな(笑)。


撮影OK(フラッシュは禁止)というのも嬉しいですね。3/8で終ってますが。

まさかの「パリスの審判」。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
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昨日の記事で触れた、ボッティチェリの「パリスの審判」。

あれを書いた直後に、録画しまくっている「名探偵ポワロ」を観てました。
シーズン7の第2話「エッジウェア卿の死」という話です。
この中で、犯人を探す重要なヒントとして、何と「パリスの審判」が出てきました。
ファッションの話題のあと
A「それなら、何に情熱を感じるの?」
劇作家「今のところは「パリスの審判」ですね」
B「ファッションの審判はパリじゃないわ。今はミラノやニューヨークよ」
ちょっと怪訝な雰囲気の周囲。
劇作家「僕が言ったのは、羊飼いのパリス。トロイ戦争の発端を作った男です」
B「ああ、そっちのパリスね」
「パリスの審判」は、ギリシヤ神話の一節で、パリスの審判のせいで選ばれなかった女神が怒り、
トロイ戦争の原因となったそうです。パリスはトロイア王の息子なんです。
「パリスの審判」をテーマに多くの画家が描いています。
つまり、「パリスの審判」は当時のヨーロッパ上流階級の常識だったんですね。
と言うか、アガサ・クリスティの小説を読む人には分かる内容なのか。
名探偵ポワロ」では、前には「パリスの審判」の話題を知っていた人が、今回はファッション
の話と間違えたというのがポイントでした。
私もボッティチェリ展で仕込んだ知識のお陰で、非常に面白く観ました(笑)。


何という、シンクロニシティなんだ!

ボッティチェリ展に行きました。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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サンドロ・ボッティチェリ(1445〜1510)は、ルネサンス期のイタリアの画家です。


代表作は「ヴィーナスの誕生」だと思いますが、これは今回は来ていません。

これがどれくらい有名かと言うと、びじゅチューンの「委員長はヴィーナス」の元ネタです。


さて、私が気に入ったのは、「美しきシモネッタの肖像」「書物の聖母」←今回のポスター等
「パリスの審判」「書斎の聖アウグスティヌス」あたりかな。平凡過ぎです(笑)。
「美しきシモネッタの肖像」は、当時絶世の美女がモデル。これぞ美人画というもの。
もう一枚、同じようにシモネッタの横顔を描いた絵もありますが、これが全くの別人(笑)。
「作画が違う」というのは、こういう事なんだよ!
決して、ハルカスの事では無い、そういう事を実感した瞬間でした。
それにしても、シモネッタ→下ネタと、つい変換してしまいました。ごめんなさい。
「パリスの審判」は、羊飼いが3人の女神の誰が最も美しいかを判定するという、謎のテーマ。
実はパリスが王様の息子なんですが、それにしても、さっぱりピーマンな内容です。


面白かったけど、近代絵画を見慣れていると、やや形式主義的な印象は否めません

「大英博物館展」に行って来ました。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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地域も時代もバラバラな100点の展示物で、歴史を一望しようとする試み。
バラエティに富んでいるので飽きません。とても面白かったです。
でも、「クレジットカード」ってどういう意味なのか、よく分かりませんが。
大英博物館は、そんな物まで収集しているのか(笑)。

手前は「ルイス島のチェス駒」の巨大レプリカ。
どうせなら本物は完全なセットで展示して欲しかったです。駒の表情が妙にユーモラス。
ポスター右下は「ウルのスタンダード」。
装飾された箱なんだけど、用途不明っていうのがいいよね(笑)。
人物像は、ヘタウマな感じです。なので、戦争場面もあまり残酷な感じはしません。
ガンダーラの仏像」は、ギリシャの影響でお顔が西洋的です。
アウグストゥス帝の胸像」は、やっぱりヤマザキマリさん好みだそうです。
現代の「銃器で作られた「母」像」も1000年経てば古典の名作になるのでしょうか。
自分の好きな作品を見つける楽しみがありました。
スフィアの皆さんは、どんな作品が好きなのか想像するのも楽しいかな。


東京都美術館にて、6/28(日)まで開催です。

「鳥獣戯画展」に行って来ました。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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入館まで80分待ち。入館してから、目玉の鳥獣戯画甲巻にたどり着くまで更に3時間(笑)。
でも、その甲斐はあったと思います。
シャープで美しい描線、躍動する擬人化された登場人(?)物、実に豊かな表情してます。
この繊細な墨一色で描かれた絵は、実際に観ないと良さが実感出来ない気がします。
まるで、約1000年の時を超えて、絵師の息吹が感じられます。
とは言っても、作者も成立年代も謎だらけなんですが(笑)。


かつて、手塚治虫も絶賛した「鳥獣戯画」。
「日本漫画の原点」とも言われますが、確かにあの諧謔精神は素晴らしいものです。
コミックやアニメの制作関係者は、必ず観るべきものだと思います。
こういう優れた文化に触れる事が、あやひーやハルカスの言う「引き出しを多く持つ事」
に繋がると思います。
ところで私は猫の表情が気に入りました。猫好きには分かる筈(笑)。


東京国立博物館にて、6/7(日)まで開催です。

コミック「いちえふ」は微妙に面白い(笑)。

3月11日で、東日本大震災からちょうど4年です。
私はどうしても、豊崎愛生さんの「消えた日記」を思い出してしまいます。
あれは、本当の気持ちだったと思いますし、なぜ消えたのか残念な思いは残ります。
さて、このコミックは、福島第一原子力発電所で働いた漫画家の「原発ルポ漫画」と
呼ぶべきものです。
福島第一原子力発電所は、正式な略称は「フクイチ」らしいが、地元では「いちえふ」と
呼ぶそうです。これがタイトルの由来です。


文章では分かりにくい内容も、絵になっていると流石に分かりやすいです。
この作者が、売れない漫画家(失礼!)だったために原発作業員になった経緯は色々と
紹介されていますが、こういうのを「天の配剤」と言うのでしょう。
確かに、作業のディテールは経験した人にしか分かりません。
マスクが3種類のメーカーの物があり、人によって好みが違うとか、作業着、手袋、靴
の詳細も興味深いです。
作業の実態や作業員の生活も、当たり前だけどリアリティーがあります。
しかし、6次下請けとか、日本には凄いカースト制度があったもんですなぁ。
確かに面白いのですが、現場に密着しすぎて、大局が見えていない気がします。
つまり、原発の間抜けさや事故の深刻さがスルーされてしまっています。


事故から4年経っても、メルトダウンした原子炉の燃料棒に触れる事さえ出来ません。
相変わらず、放射性物質は漏れ続けています。
そして、汚染された冷却水は増え続け、収容するためにタンクも増え続けています。
人間が全くコントロール出来ない原発は「技術」と呼べる代物ではありません。
最初に、せめてチェルノブイリみたいに石棺方式を取るべきでした。
もちろん、原発推進した役人や御用学者に作業をしてもらって、最後のご奉公を果たし
てもらえばいいのです。今からでも遅くないからやらせたら?
たかがお湯を沸かすために、何で綱渡りの原発なのか、普通の人には理解不能です。


物理を学んだメルケル首相は廃止を決断し、学習能力欠如の某首相は輸出をたくらむ(笑)。