声優さんは仕事を選べない。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.seesaa.net/


これは案外知られていない気がします。声優さんだけを見ていると、最近は顔出し
の仕事も多いので、出演作の多い人気声優さんだと仕事を選べると思うファンが
多いかも知れません。
特に自分が応援している声優さんならば、そういう願望も入りがちです。
だけど、声優さんが作品に出演するまでの流れを考えれば、あるいは知っていれば
分かる話です。


①アニメの製作情報が入れば、声優事務所のマネージャーが営業を行う。
 オーディション現場に自社の声優を呼んでもらうためです。
 ミューレの宮本マネージャーは、飲み会の席でも関係者にCDを配って営業したそう
 です。普通は、ここまでやりません。
②何回かに1回、運良くオーディション現場に呼んでもらえても、そこには何人もの
 競争相手がいます。
③競争を勝ち抜いて役を得る。
 メインキャストを沢山演じていた時期の豊崎愛生さんでも「(オーディションは)
 落ちて当たり前の世界」と言っていました。


私はイベント会場で何度も「○○さん、あんな役やらなければいいのに」という声を周り
から聞きました。正直、私もそう思ってた時期もありました。
でも、声優さんが仕事を選べないという事を認識してからは「お仕事、頑張って下さい」
としか思えなくなりました。
だから、戸松遥さんの「どんな仕事も楽しくやる」というポリシーを聞いた時は、本当
のプロだと思いました。
その言葉の裏にあるのは「本来楽しくない仕事もある」という事ですからね。


2018年2月に、上記の事を裏付けるような出来事がありました。
ベテラン声優の古川登志夫さんが、ネタアニネの「ポプテピピック」に出演した時の
事です。
古川さんと言えば、古くは「うる星やつら」「機動戦士ガンダム」「ドラゴンボール
機動警察パトレイバー」、現在放送中では「ゲゲゲの鬼太郎」などに出演した
大物声優です。
ところが、「ポプテピピック」に出演した時に「大御所なんだから、仕事選べよ、
なんでこんなクソアニメを!」とのリプライが殺到したそうです。


その時の古川さんの反論は
「冗談ではない。アニメのキャラ声は本職だ。第1仕事を選べるほど偉い立場に無い。
一本の仕事を取るのにマネージャーさんが何度頭を下げるかご存知か!」
でした。
流石に、声の知れ渡った大御所の古川さんだと、オーディションこそ無いようですが、
マネージャーが大変な営業活動をしているのが分かります。
声優さんの立場は、大御所でもこういう状況です。使ってもらう立場なのです。
声優さんは、一つの仕事を得るのがどんなに大変か、自分の経験からよく知っている
のです。


さて、ここからが本題です(笑)。
スフィアは、会社命令で結成された声優ユニットです。そして、メンバーは仕事を
得る事の重さを理解しています。その事を考えれば、メンバーからスフィアを簡単に
「解散したい」とか「休みたい」とは言えない筈です。
「解散した声優ユニットもあるよね」という声もありそうです。
私はそういう事例は「メンバー間の格差(忙しさの違い)」「メンバー同士、あるいは
メンバーと会社の関係悪化」が原因だと思っています。


ところが、スフィアには、そういう要素は見当たりません。メンバーと会社の関係は
他の事務所より遥に強いです。
これは会社設立時には、スフィアの4人しかいなかったのが大きいです。
メンバーは、お互いをリスペクトする発言を繰り返ししているし、メンバーが出演
する舞台には、時間がある限り他のメンバーが観に行っています。
これを今日までずっと続けているのは、強い信頼関係があればこそです。


だから、スフィアの「音楽活動だけ休止」の意味が全く分かりません。
元気なスフィアを見ていると、音楽活動が出来ない理由が見えないのです。
確かに精神的に大変な時期はあった(5周年ぐらいの時期)ようですが、そこは乗り
切ったという話ですからね。
そして、新生スフィアへの準備活動が「月1回の定例会議」と聞いては尚更です。
音楽活動やっても、会議の時間ぐらい取れるじゃないか。


まぁ、その「充電」のお陰で、あやひーのミュージカル主演が実現したのかも知れない
と思うと、若干複雑な気持ちになりますが・・・。


スフィアが「ランティス祭り2019」に出演するのなら、私も「充電」が必要かな。