藤井聡太四段の将棋は異次元だった。いつもそうだけど(笑)。

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
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7/11の加古川青流戦、対都成竜馬四段戦には鳥肌が立ちました。
別に部屋に鳩が飛び込んできた訳じゃないよ(笑)。←昨日のブログを参照の事。
私がインターネットで途中から見た時は、パッと見には都成四段の勝ちに見えました。
プロ棋士2人(勝又清和六段と藤森哲也五段)の解説もそんな感じでした。


何しろ藤井四段の王様は孤立無援で、周りには敵の銀、と金、角に包囲されて逃げ道
はありません。それに対して都成四段の王様は金銀3枚でガッチリ守られています。
藤井四段は、攻めるしかありませんが、有効な手も無さそうな局面でした。


そして、藤井四段の着手は1八歩。何だか、ゆるい手に見えました。
将棋の終盤では、相手の王様に迫るスピードが勝負なのです。
この一手は、香車取りですが香車を取っても王手では無いという意味では、直接の
脅威にも見えませんでした。
前回の中田七段戦でも、終盤の「一見ゆるい手」から、アッという間に逆転してます。


ただ、都成四段としては、攻めてもらって駒を入手出来れば敵の王様を詰ます可能性
が高くなるし、香車をタダで取らせる理由もなく歩を取りました。
藤井四段は、この後は手筋の歩の連打で香車を吊りあげます。そして2五桂。
これで、遠くからの角の利き筋と桂馬で都成四段の王様に迫る形にはなりました。
しかし、攻めるには駒が不足です。


ここから数手後に、藤井四段に神技の一手が出ます。
攻め駒を入手するために、王様が敵の銀を取りに行った5一玉です。
攻められている王様が逆襲して銀を取りに行くのは、中々思い付かない手でした。
藤井四段の凄いのは、この手を十数手前から読んでいた点です。
次の一手として出題されれば、私でも正解の可能性はあるかも知れません(笑)。
藤井四段の局面を逆算して読む能力が尋常ではありません。
だから、その読みの全貌がハッキリした時の解説のプロ棋士に与えた衝撃も凄い。


「これ全部読み切ってますよ、あの子」
「ヤバい!マジか!」
「玉で銀を取りにいって勝ちと・・・マジか」
「全部一本の線で繋がってたんだね」
「ここまできて5一玉とは・・・読めないね・・・なるほどね」
「うわー、ヤバい!」
「こんなのありかい!」
「あの顔は読み切ってます」
「何が悪かったの都成君」
「相手です、相手が悪かった」
「君、若手の解説者なんだから、もっと将棋の内容を言おうよ(笑)」
解説のプロ棋士も天才なんですよ、プロに成れた時点で。
その人達が、こんなにパニックになった解説は初めて見ました。
それだけ、藤井四段の終盤力が異次元という事です。
何だか、とんでもないものを見たという印象。


これが藤井四段の14歳として最後の対局でした。